一昨日、クルマンケとの電話で、
ク「あれ?話したっけ?ンナトが結婚するんだよ。」
私「ンナト?どのンナトよ?」
ク「ンナト!ンナト!サラン!」
と突然の朗報にびっくり!
だって、サランは…
(【ンナト】とは「ンナ=私の母親」の「ト=アトゴマ…簡単に言うと名前継承者」の事。)
めでたく結婚が決まったサラン。
とても嬉しいし、私もサランが結婚する事を切望していた。
でも、サランは耳が聴こえない…
私とサランが初めて会ったのはコナクリの病院だった。
病名や症状については説明してもらったけど良く解らなかった。
でも見た目でとても重い症状である事は解った。
小さくやせ細った体でベッドに弱々しく横たわるサランの皮膚は、火傷なのか病によるものなのか、所々に紫色の斑点が生じ(黒い肌にギニアで主流のヨードチンキを塗ると、凍傷の様な黒味がかった紫色に見えるが、サランの場合がそれなのかは解らない)、唇の周りからは体液が染み出していた。
痛いのかかゆいのか…
ストローで水を飲むのがやっとの様だった。
次の年、サランは見違える程回復したが、後遺症で耳がほとんど聴こえなくなっていた。
今20代前半位の年齢だから、当時で20歳前後。
それまでは聴こえていたわけだから、マリンケ語は勿論、スス語もフランス語も話せるし低い音は聞こえる様で、私のつたないスス語でも問題無く会話が出来た(意味が通じているか?と言う私の語学力問題はあるけど…)。
サランは兄弟の中でも特に明るく人懐っこくて、私と妙にウマが合う。
家事以外にも髪を編む仕事があり、腕が良いので休む間もなく近所の女性達が彼女の元を訪れていた。
子供が好きな子をからかう様に、近所の年頃の男の子が家の前を通る度にサランを「マギネ!」(スス語)と呼び、ふざけ合っているのを良く見かけた。
【マギネ】とは、「マ=私の」「ギネ=女」、つまり「私の妻」と言う事。
そんなある日、ふとサランが、
「私は耳が聴こえないから結婚はしないの。男なんてウザイ!」
と言った。
いつもの様に笑ってたけど、「諦め切れないけど仕方ない事」とサランが自身に言い聞かせてるみたいだった。
あんな事を言っていたサランが結婚?
ク「相手は40歳で、2番目の奥さんになるんだ。」
私「!!!!!耳の事は知ってるんだよね?相手は良い人?1人目の奥さんも良い人?」
現代日本ではあまり無い事だけど、娘の嫁ぎ先は親が決める風習がある。
心配だよ~!サラン!
しかも、ファラナーから車とバイクで1日もかかる遠ぉ~~~~~~~~くの、レーロとか言う村に嫁ぐそうな…
いじめられたり悲しい思いしたり、ホームシックになって電話が出来たとしても、彼女にはファラナーに居る家族の声は聴こえない。
私「大丈夫なの?本当に大丈夫なのぉ???」
ク「Ça va aller ça va aller(うまくいくよ).」 それあんたの口癖じゃな~い!
私「あ!そう言えば、レーロに家族が住んでるって言ってたよね???」
ク「兄さんも~姉さんも~沢山いるよ。」
私「そうか…それならもし何かあっても大丈夫かな…」
ク「Ça va aller.」
クルマンケのÇa va allerの後もまだ不安がかすかに残ったまま、サランと話す?と言うので電話を代わってもらった。
サ「ミホ!Ça va?(元気?) あ~!でも声が聴こえないんだよね~(笑)何か言ってるんだろうけどごめんね…私は元気だよ!」
と、ワワワーッとまくしたてて、ハイッてクルマンケに電話を代わってしまった。
結婚おめでとう、サラン。
凄く嬉しいよ!でも遠くに行ってしまうあなたの事がとても心配だし、ファラナーに行ってもあなたが居ないなんて悲しいよ。
去年の今頃、私はファラナーに居たのに、今年もそうだと思ったのに…
もし居ればあなたの結婚パーティーで超踊りまくったのに!
も~、私が行くまで待ってて!その結婚!
ってクルマンケから伝えてと頼んだ。
病気だったなんて微塵も感じない程に回復したサラン。 姪っ子の髪を編み中。 家族は皆サランに編んでもらう。 |
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